ビジネスマンへの歌舞伎案内【成毛 眞】 / レビュー・感想

 

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本の情報

  • ビジネスマンへの歌舞伎案内
  • 成毛 眞
  • 2014/11/8

 

概要

かつては歌舞伎を観てもつまらなかったと感じていた著者が歌舞伎にはまり、その過程でわかった歌舞伎の魅力や楽しみ方、知っておきたいことなどをまとめた歌舞伎入門書。

著者の思いがこもった文章にすぐにでも歌舞伎が観たくなる。

 

【引用】個人的に気になったポイント

しかし私はビジネスマンにこそ、歌舞伎見物をすすめたい。歌舞伎には、何百年も変わらない日本人の姿が描かれているからだ。どんな人間が人から慕われ応援され、どんな人間が嫌われ煙たがられるかは、歌舞伎を観ればすぐにわかる。

 

私は、いま、歌舞伎がつまらないと思っている人がうらやましい。つまらないと思っていた時代に戻りたいとすら思う。というのも、よくわからないと思いながら見続けるなかで、じわじわと面白さに気がつくプロセスも、歌舞伎を観る醍醐味の一つだからだ。

 

結論からいってしまうと、歌舞伎はそもそもわかる必要などない。

 

歌舞伎の魅力の一つは、変わらないところにある。演目によっては三〇〇年間、何も変わっていないのだ。

 

自分の成長を確認できる演劇は、歌舞伎しかないのだ。 つまり、観劇経験を人生の資産にすることができる。このことはぜひ若い人たちに伝えておきたい。たとえば、一年に一回、嫌々でも三〇代から観ておけば六〇代になったとき、若かったころの自分の判断に感謝することであろう。

 

歌舞伎を観るということは、すばらしい芸能を観ることでもあり、自分とは縁遠いのだが、親しみがもてる一族の人間模様を見ることなのだ。

 

とりわけ歌舞伎のシンボルともいえる白塗りの顔は、主役級の人物に多い。そのほか、よい殿様や善人、また、お婆さん以外の女役なども白塗りだ。基本的に白塗りはいい人々だと思えばいい。

 

この白塗りに対して、顔を赤く塗っているのが悪人たちだ。一般人は、そのどちらでもなく、ただの肌色である。ちなみに、極悪人の顔の色も赤ではなく白である。本当の悪人が善人と同じ白塗りというのは、ある種のリアリティを感じさせる。

 

芝居を観に行くのではなく、役者を見に行くのである。それもまた歌舞伎の醍醐味なのだ。

 

歌舞伎が長く愛されてきた理由は、伝統だからでもなんでもなく、どの時代に生きる人にも心地よさを感じさせるものだったからなのだろう。

 

ビジネスで成功するには、混沌や無秩序を含めて、現実に起きていることを正しく、しかも素早く把握する必要がある。「こうあるべきだ」とか「こうあってほしい」ではなく、まずは「こうなっている」を知らなくてはならないのだ。 そして、その「こうなっている」を受け入れる体質になるには、世の中の縮図である歌舞伎で鍛えるに限るのである。

 

私は常々、仕事しかできないような人間は、一流のビジネスマンにはなれない、つまり、本当の意味で仕事ができる人間ではない、と考えている。

 

すなわち、その本質とは「変わらないこと」である。いまの世の中は、「変わること」ばかりがもてはやされる風潮があるが、歌舞伎を観ていると、変わらないことの大切さをつくづく感じさせられる。

 

本書から得た気づき

長く愛されてきた歌舞伎

本書を通して歌舞伎の魅力や長年愛されてきた理由を感じ取ることができた。

本書で著者が歌舞伎はフェスであると述べているところで笑ってしまったが、これは肩ひじ張らずに自由に楽しむということである。これで歌舞伎のイメージが堅苦しいものからだいぶ変わった。

また本書で歌舞伎の本質は変わらないこととあり、それはいつの時代も好かれるやつ嫌われるやつ面白く感じるポイントなどは一緒であり、それが長く愛される所以であるという。

この激変の時代において変化することばかり求められるが、歌舞伎を観て変わらないことの大切さと面白さを身をもって体感したい。

 

実践ポイント

歌舞伎を観る

本書を読んですぐにでも歌舞伎を観たくなった。色々楽しみ方や見方などあるが、まずは最低限の知識をもって歌舞伎を体験することが大切だろう。

具体的に

歌舞伎を観に行く

 

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