宇宙やブラックホールなど小さい頃から興味が尽きない話題について、2018年に亡くなられたスティーヴン・ホーキング博士の解釈が詰まった本。生涯をかけて書いた本にどんなことが語られているのか興味があり手にとった。
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こんな人におすすめ
- 宇宙やAIなどに興味ある・考えるとワクワクする
- ホーキング博士が最期に伝えたかったメッセージを知りたい
本の情報
- ビッグ・クエスチョン―〈人類の難問〉に答えよう
- 2019/3/14 発売
- スティーヴン・ホーキング (著), 青木 薫 (翻訳)
概要
スティーヴン・ホーキング博士が10の人類の難問を答えた本書。生涯をかけて未来に向けたメッセージが綴られている。
10のビッグ・クエスチョン
- 神は存在するのか?
- 宇宙はどのように始まったのか?
- 宇宙には人間のほかにも知的生命は存在するのか?
- 未来を予言することはできるのか?
- ブラックホールの内部には何があるのか?
- タイムトラベルは可能なのか?
- 人間は地球で生きていくべきなのか?
- 宇宙に植民地を建設するべきなのか?
- 人工知能は人間より賢くなるのか?
- より良い未来のために何ができるのか?
宇宙や未来予測、AIなど多岐にわたって人類を悩ます、まさにビッグクエスチョンへの回答を変に濁したりせずズバッと意見を述べており、とても面白かった。
特に9章以降についてはホーキング博士の強いメッセージを感じ取ることができた。
また、理解が難しい解釈については、例えを用いてわかりやすく説明しているため、なるほどと理解を深めながら読み進めることができた。
【引用】個人的に気になったポイント
勇気を持とう。知りたがりになろう。確固たる意思を持とう。そして困難を乗り越えてほしい。それは、できることなのだから。
ビッグバンで正のエネルギーが大量に生じたとき、それと同じだけの負のエネルギーも生じた。正のエネルギーと負のエネルギーで差し引きはゼロで、エネルギーはその後ずっとゼロだった。全体としてのエネルギーがつねに一定であることは、もうひとつの自然の法則だ。
ブラックホールの内部では時間そのものが存在しないのだ。そして時間の消失こそは、宇宙の始まりに起こったことなのだ。
宇宙の始まりでも、時間そのものが止まるというのだ。ビッグバン以前には時間がないのなら、時間を遡ってもビッグバン以前には到達できない。こうして私たちはついに、原因のない何かを発見した。なぜなら、あるできごとに原因があるためには、そこにいたるための時間が必要だが、その時間がないからだ。私にとってそのことは、創造主が存在していたはずの時間がないのだから、創造主が存在する可能性はないということを意味する。
地球の端へ行くためにはどちらの方角を目指せばよいかと尋ねるのに似ている。地球は端のない球なのだから、端を探すという行為には意味がない
宇宙は膨張しているということだ。銀河たちはお互いから遠ざかっているのだ。
最終的に銀河は互いに引き合い、すべてが激しく合体するビッグクランチを起こすだろう。実数時間における宇宙の歴史は、そうして終わりを迎えるだろう。
宇宙を支配する法則は、原理的には未来を予測させてくれますが、実際にはそのための計算はあまりにも難しいことが多いのです。
もしも人類がこれから先、さらに百万年ほど存続するなら、私たちの未来は、まだ誰も行ったことのない場所に大胆に行くかどうかにかかっている。
顔を上げて星に目を向け、足元に目を落とさないようにしよう。それを忘れないでほしい。見たことを理解しようとしてほしい。そして、宇宙に存在するものに興味を持ってほしい。知りたがり屋になろう。人生がどれほど困難なものに思えても、あなたにできること、そしてうまくやれることはきっとある。大切なのはあきらめないことだ。想像力を解き放とう。より良い未来を作っていこう。
本書から得た気づき
ビッグバンについて
ビッグバンといえば、何か大爆発によって宇宙が生まれた程度の認識だったが、この本を読んで理解が深まった(というより納得感を得た)。
本書で得た知識から、自分なりに宇宙のサイクルについて図を書いてみた。
元々はブラックホールと同様に時間も何も存在しない「無」であったが、ビッグバンにより正のエネルギーと負のエネルギーが生じて我々のいる宇宙空間(正のエネルギーの空間)は広がっていった。それと同時に正と全く同じ量のエネルギーで我々のいる宇宙空間とは別の空間(負のエネルギーの空間)も広がっていった。これは認識できていないだけだと考えられる。
現在ではまだまだ正負のエネルギーが増幅して宇宙空間は広がっているが、将来はビッグクランチによって宇宙は収縮し、また何もない「無」に還るのではないだろうか。そしてまたビッグバンが生じ…このように宇宙はサイクルしていると思うととても納得感を得られる。
そもそもビッグバンはどのように起きたかについては、本書で「地球の端へ行くためにはどちらの方角を目指せばよいかと尋ねるのに似ている。地球は端のない球なのだから、端を探すという行為には意味がない」と語られている通り、意味をなさない問いなのかもしれない。
人類の未来
自然災害、テクノロジー・AIの発達、人口爆発、核の脅威など、今人類は様々な課題にぶつかっており、まさに今後の未来を左右する過渡期である。
これらの課題に対して様々なアプローチがあると思うが、人類が宇宙や地球、科学のことなど今起きていることについてもっと興味を持って向き合うことが大きな鍵であると感じた。
ホーキング博士は自身のことを楽観的と語っていたが、強い危機感を持っていたと思う。「いまという時を逃してはならない。行動するのはいまだ。」と本書で語っていた通り、このままだと取り返しのつかないことになることを予感していたと思う。
実践ポイント
何事にも興味を持つ
ホーキング博士が語った「顔を上げて星に目を向け、足元に目を落とさないようにしよう。それを忘れないでほしい。」に伝えたいメッセージが集約されていると思った。
具体的に
本記事のように、興味のあることについて本やネットなどで調べ、自分なりの解釈をした上でアウトプットする。
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