素粒子のすべて【ニュートンプレス】 / レビュー・感想

 

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本の情報

  • 素粒子のすべて
  • ニュートンプレス
  • 2016/12/8

 

概要

素粒子の発見の経緯を追いながら紹介した本書。反物質、力の統一といったキーワードを糸口に今世界中の科学者たちがどのような謎を解き明かそうとしているのか紹介している。

 

【引用】個人的に気になったポイント

 

まず、身のまわりのあらゆる物質は、「原子」という小さな粒からできていることがわかりました※。周期表の元素とは,原子の種類のことを意味します。つまり,身のまわりにある無数の物質は,すべて100種類ほどの原子からできていることになります。しかし原子は素粒子ではありませんでした。原子は,「原子核」というさらに小さな粒のまわりを,これまた小さな粒,「電子」がまわっている,という構造をしたものだったのです。この電子こそ、素粒子です。では原子核はどうでしょう?原子核は、陽子と中性子という2種類の粒が集まったものであることがわかりました。では陽子と中性子は素粒子でしょうか?これらも素粒子ではありません。陽子も中性子も,2種類の「クォーク」という粒が三つ集まったものだったのです。このクォークこそ、素粒子です。

 

反物質と物質の衝突から得られるエネルギーは、石炭の燃焼の30億倍!反物質と物質がふれたときに生じるエネルギーを、ほかのエネルギー獲得方法とくらべてみましょう。数字はそれぞれ、化石燃料1キログラムを燃やしたときに得られるエネルギー量を「1」としたとき,同じ量の物質の反応でほかの方法によって得られるエネルギー量がどれくらいかをあらわしています。500グラムの物質と500グラムの反物質(合計1キログラム)が出会うと,火力発電の燃焼反応の30億倍ものエネルギーが生じます。

 

宇宙の,われわれの今の世界の成り立ちを知りたいなら,そもそものはじまり,昔はどうだったのかを調べればいい。昔の宇宙は小さな宇宙で、中に入っているたくさんの『小さなものたち」が大事なはたらきをはたしていました。だから,私たちの目に見えるような大きなもの,私たちの体とか地球みたいな大きなものではなくて、逆に物質を小さく小さく分けていった果てにある素粒子を調べるんです。素粒子にはどんなものがあって、どういう反応をしてどういう風に発展してきたかを調べないと、今の宇宙の成り立ちを知ることができません。こいようにして、素粒子物理学と宇宙の研究が結びついているのです。

 

「たとえば、電磁気力を伝える光子は、電気をもつ物の間を行き来します。しかしヒッグス粒子は、電気をもっていません。光子には、ヒッグス粒子が見えないのです。そのままスーッと行くわけです。ですから光子は、質量をもちません。どういう粒子かによって、ヒッグス粒子とぶつかるかどうかというのは、きちんと決まっているのです」

 

光子はヒッグス粒子に邪魔されず,自然界の最高速度で進みます。逆にいえば、光子は真空中を光速未満で進むことはできません。光子は,生まれた瞬間から光速で動きつづける運命なのだといえます。トヒッグス粒子がなければ,私たちの体をつくっている電子などの素粒子も,光速で進んでしまい、その場にとどまっていられなくなります。物体の構造が保たれているのは、真空にヒッグス粒子が満ちているおかげなのです。

 

重力を伝える重力子を、ほかの素粒子と統一するためにできてきた考えが、超ひも理論といわれる理論です。超ひも理論では、重力子も電磁気力も伝える光子も、それから物質を構成する素粒子も、一つの輪ゴムみたいな弦がどういう運動をしているかによって、ちがうように見えているだけだと考えます。ですから、すべての力を伝える素粒子も、すべての物質を構成する素粒子も、もともとは同じものだというのが超ひも理論の考え方です。

 

超ひも理論に”超”とついているのは、超対称性の超です。超対称性がないと、超ひも理論はうまくいかないのです。

 

超対称性理論にもとづく素粒子を、超対称性粒子といいます。超対称性粒子はまだみつかっていないのですけれども、考え方としては、われわれが知っている標準理論にもとづく素粒子一つ一つに対して、パートナーがある、影武者みたいなものがいるのだという考え方です。

 

超対称性粒子というのは、物質を構成する素粒子のパートナーは力を伝える素粒子に似た素粒子、力を伝える素粒子のパートナーは物質を構成する素粒子に似た素粒子です。

 

本書から得た気づき

ヒッグス粒子

ヒッグス粒子は2012年にCERNで発見され、あらゆる空間に存在する素粒子である。

ほんとうは電子は光の速さで進みたいのだが、ヒッグス粒子が充満している空間を通るので、遅くなる。これは素粒子がヒッグス粒子にぶつかって、スーッと進まずにゴツゴツ進めイメージである。

一方電磁気力を伝える光子は電気をもつ物の間を行き来するが、ヒッグス粒子は電気を持っていないため、光子にはヒッグス粒子が見えないのである。そのため、光子はスーッと自然界最高速度で進むのである。

 

超ひも理論

超ひも理論では、あらゆる素粒子は一つの輪ゴムみたいな弦がどういう運動をしているかによって異なる見え方をしているという考え方である。

超ひも理論の「超」は超対称性からきていると本書を通して初めて知った。超対称性理論にもとづく素粒子を超対称性粒子といい、まだ見つかっていないという。

超対称性粒子は標準理論にもとづく素粒子一つ一つに対してパートナーがあるという考え方のようだ。

 

実践ポイント

超対称性理論

本書ではじめて超対称性理論について知ったが、まだ難しくてイメージできるところまで理解できていない。超ひも理論に関する本を読んでこの辺りのイメージをつかんでいきたい。

具体的に

超ひも理論に関する本を読む

 

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