パラレルワールド【ミチオ カク】 / レビュー・感想

 

パラレルワールド 11次元の宇宙から超空間へ / ミチオ カクの詳細はこちら【Amazon】

 

本の情報

  • パラレルワールド 11次元の宇宙から超空間へ
  • ミチオ カク (著), Michio Kaku (原著)
  • 2006/1/21

 

概要

パラレルワールド、知的文明の未来、量子現象を用いたテレポート、ワームホールを通るタイムマシンなどSFの世界ではなく現実の話として科学的に語られる本書。宇宙ではいったい何が起きているのかをあらゆる歴史的研究からひも解いていく。

 

【引用】個人的に気になったポイント

この新しい見方では、われわれの宇宙はさらに大きな海に浮かぶ泡に例えられる。その海では、ひっきりなしに新しい泡が形成されている。この理論にしたがえば、宇宙は、沸騰する水にわく泡のように次々と誕生し、圧倒的に広い領域(十一次元の超空間の涅槃)に浮かんでいる。ほかの宇宙と一緒に永遠の海に浮遊しているのである。

 

WMAPが初期宇宙の姿を今までにない画像としてとらえることができたのは、夜空がタイムマシンのようなものだからである。光の進む速度は有限なので、夜空に見えている星は過去の姿であって、現在の姿ではない。月からの光は、一秒ちょっとかかって地球に届く。となると、われわれが見る月は、実際には一秒ほど前の月なのだ。太陽から地球までだと、光は約八分かかる。そして夜空で明るく見えている星の多くは、光がわれわれの目に届くのに十~百年かかるほど離れている(一光年はおよそ九兆五千億キロメートルで、光が一年間に進む距離である)。遠くの銀河から届く光は、数億年から数十億年も昔のものになる。いわば光の「化石」で、恐竜が登場するはるか以前に発されたものもあるわけだ。

 

ひも理論によれば、かりに電子をのぞき込める超高性能の顕微鏡があったとしたら、電子が点状粒子ではなく振動する小さなひもだとわかるはずだった。われわれの装置が未熟だから点状粒子に見えるだけなのだ。「この小さなひもが、おのおの異なる振動数で震え、共鳴する。振動しているひもをはじくと、ひもは振動のモード変えて、別の素粒子(クォークなど)になる。さらにもう一度はじくと、今度はニュートリノになったりするのだ。このようにして、たくさんの素粒子も、ひもが奏でるさまざまな音にすぎないと説明できる。

 

この斬新な解釈では、宇宙がふたつに分かれるため、猫は死んでいながら生きてもいる。片方の宇宙では、猫は死んでいるが、もう片方の宇宙では、猫は生きているのだ。それどころか、どの量子論的な転機においても宇宙はふたつに分かれ、果てしなく分岐しつづける。このシナリオではあらゆる宇宙が存在可能で、どれも等しく現実だ。どの宇宙の住人も、自分の宇宙こそが実在の宇宙で、ほかはすべてまやかしだと言い張るだろう。こうした並行宇宙は、はかない存在である幻の世界ではない。

 

われわれの体の原子と、何光年も離れた原子とのあいだには、宇宙の「からみ合い」という関係があるのだ。宇宙のすべての物質はビッグバンという一度の爆発で生まれたのだから、ある意味でわれわれの体の原子は、宇宙の反対側にある原子と、なんらかの量子論的ネットワークのなかで結びついている。

 

「分子のようにもう少し大きな物体も、私が生きているうちにテレポートできるようになるかもしれないが、本当の意味で大きな物体は、予測可能なテクノロジーではテレポートできないだろう」

 

量子テレポーテーションに対する最大の制約かもしれないのが、「対象となる物体が干渉性をもたなければならない」という量子コンピュータも直面している問題だ。環境とほんのわずか混じり合うだけで、量子テレポーテーションは破綻する。それでも、二十一世紀中には、ウイルスのテレポーテーションが可能になると考えられる。

 

ひも理論によれば、超高性能の顕微鏡で電子の真ん中を覗くことができれば、そこには点状粒子ではなく振動するひもが見えるはずだ(そのひもはおそろしく小さく、陽子の十億分の一のさらに十億分の一にあたるので、どの素粒子も点状に見える)。このひもをはじくと、振動が変化し、電子がニュートリノになることもあるだろう。もう一度はじくと、今度はクォークになるかもしれない。それどころか、十分に強くはじけば、既知のどんな素粒子にも変われる。したがって、ひも理論でなら、素粒子の種類がこんなにも多い理由が容易に説明できる。

 

地球の月はまた、わずかな潮汐力によって、年に約四センチメートルの割合で地球から遠ざかっている。およそ二十億年後までには、遠ざかりすぎて地球の自転は不安定になってしまう。それは地球上の生命に破滅をもたらすだろう。今から数十億年経つと、夜空に月がなくなるばかりか、地軸が倒れてまったく違う星座が見えるようになるかもしれない。すると地球の気候はとんでもないものになり、生命は存在できなくなる。

 

科学者は、そうしたいくつもの「幸運な宇宙の偶然」を列挙している。この膨大なリストを前にすると、なんと宇宙に存在するおなじみの定数の多くが、生命の存在を可能にする非常に狭い範囲に収まっていることがわかる。このような偶然のたったひとつが変化するだけで、恒星ができなくなり、宇宙はばらばらになり、DNAが誕生しなくなり、われわれの知る生命は存在できなくなり、地球が横倒しになったり凍りついたりしてしまうのだ。天文学者のヒュー・ロスは、これが実に驚くべき状況であることを強調しようと、大竜巻がくず鉄置き場を襲った結果、ボーイング747ができあがってしまったようなものだと言っている。

 

「大量に服があったら、自分にぴったりの一着が見つかっても不思議はない。宇宙もたくさんあって、それぞれ異なる数値の一群に支配されていたら、生命に好適な数の一群に支配された宇宙がどこかにあるだろう。われわれはその宇宙にいるのだ」要するに、われわれの宇宙が今こうあるのは、マルチバースのなかに多くの宇宙があるための確率的な結果であって、大いなる設計!の結果ではないというわけである。

 

本書から得た気づき

ひも理論

ひも理論によると素粒子は点状粒子ではなく振動する小さなひもが見えるはずであるといい、この小さなひもがおのおの異なる振動数で震え、共鳴する。

振動しているひもをはじくと、ひもは振動のモード変えて、クォークなどの別の素粒子になる。たくさんの素粒子はひもが奏でるさまざまな音にすぎない。

本書でのひも理論を学んで、前にお台場の科学技術館でみたプラネタリウムの公演を思い出した。それはこのひも理論に関する公演であまりに常識を打ち破った内容で衝撃的だった。

それと同時に宇宙は人智の範囲を超えて不思議なことが起こっているのだと納得したことを覚えている。人間を含め全てのものや生き物はこのひもからできており、ゆらぎによって形成されている。

常に動き続けるこの世の全ては、仏教の諸行無常の考え方でもあり、変化し続けながら調和を保っているのかもしれない。常に変わり続けるこの世の果てはどこに到達するのか、はたまた無限なのか。

 

幸運すぎる生命の存在

ある天文学者が幸運すぎる宇宙・生命の存在に「大竜巻がくず鉄置き場を襲った結果、ボーイング747ができあがってしまったようなものだ」と言っている。

まさしく奇跡すぎるこの世界は神が設計したものなのだろうか。多元宇宙論的には無数にある宇宙の中で確率的に生命にとって最適な環境であったのであり、他の無数の宇宙はそうではないだろう。これを「大量に服があったら、自分にぴったりの一着が見つかっても不思議はない。」と例えている。

本書冒頭で「われわれの宇宙はさらに大きな海に浮かぶ泡に例えられる」とあったが、絶えず湧き出る泡である宇宙は絶えず生まれ絶えず消えているのだろうか。宇宙の外側であり、泡の外側はどうなっているのだろうか。

いずれにせよ我々がこの世に生まれ意識をもっていることは確率的であってもとてつもない奇跡の上に成り立っている。

 

実践ポイント

興味深すぎる宇宙の謎

人類の謎であり宇宙の謎はとても興味深い。色々学んできた中で実際その謎の答えはわからないが、想像の遥か上の上の上をいっているだろう。

というより宇宙の謎は人間には永遠に理解できないのかもしれない。それでも宇宙について学んでいきた。

具体的に

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