本の情報
- 雨夜譚
- 渋沢栄一 (著), 渋沢栄一翁顕彰会 (著)
- 2021/1/12
概要
渋沢栄一がこれまでの人生を振り返り、子弟のために口述した自伝である本書。渋沢がこれまでやってきことや思想などを直に知ることができる。
【引用】個人的に気になったポイント
さすればおのおの方も帰朝するには及ばないから、こうきめられたらドウじゃといったれば、一同もようやく同意してはじめて相談が行き届いたから、その趣きを逐一奉行御傅役へも申し通じてその承諾を得、無事にこの葛藤が解けました。
自分の身はともかくも、そのうちには幕府の命脈が続くまじと実に失望の極みに陥りました。ところが幸いにして民部公子の付き添いを命ぜられてフランスにゆき、一方には国家の乱を避け、一方には外国の形勢を知ってかたわら修学の道を得ることであるから、この上もない都合のよい運に向いてきたのでいかにも心嬉しく思いました。
やはり我々と同じく新政府を作るという希望を抱いて艱難辛苦した人である、されば出身の前後はともかくも元来は同志の一人であります、畢竟維新の政府はこれから我々が智識と勉励と忍耐とによって造り出すもので、ことに大蔵の事務については少しく考案もあるから、ぜひとも力を戮せて従事しろ、と懇切に説諭せられて、いまさら強いて辞退もできぬことになったから、しからば自分にも愚説がある、それをご採用あるようにしたいといって、ここではじめて大蔵省に奉職するという意念になった。
本書から得た気づき
仲裁に入り調整を図る力に長けていた
本書を通して、御代官の説得や渡仏先での仲裁など渋沢は仲裁し調整を図る力に優れていたのだなと感じた。
また倒幕の密議における尾高惇忠との話し合いや大久保利通と意見の衝突など時代の潮流を読む力と共に自分の信念を持って行動してきたことが伺える。
父の存在
本書にて度々渋沢の父が登場するが、父へ恐れ敬う気持ちが文章からどことなく感じた。
老年においても気力が衰えることなく稼業に全うする威厳さと故郷を出る時やフランスから帰京する時などしばしば渋沢の身を案じる優しさなどに渋沢は心より尊敬していたのだろう。
実践ポイント
渋沢の生涯
事前に渋沢栄一の生涯についてざっくりと学んでいたが、実際に渋沢自身が書いた本書を読むことでより理解が深まった。
本書で書いてある周りとのやりとりや出来事などから察するに渋沢は周りから見てとても魅力的な人間だったのであろうと感じた。
具体的に
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