4月某日に東京高等裁判所に行ってやりたいことリストの一つである裁判傍聴をしてみた。今まで裁判傍聴したことはなく、初めての経験となった。
東京高等裁判所到着
霞ヶ関駅からA1出口を出てすぐ目の前に東京高等裁判所がある。建物内に入ると空港のような手荷物検査があり、ゲートをくぐる。
手荷物検査が終わったらすぐ前にタブレットがあり、そこで本日の裁判の内容を見ることができる。
周りの人もタブレットを見ながら手帳などにメモをしていたようであった。裁判中は携帯電話は電源を切らなければならないため、手帳などにメモすることになる。ちなみに裁判所内は撮影禁止。
事前に調べた時に、最初は刑事事件の新件がおすすめとあったので新件をピックアップして選んだ。
10:00-11:00は覚せい剤取締法違反の裁判、11:00-12:00は窃盗罪の裁判を見ることにした。
裁判が行われる部屋へ
まずはタブレットに書かれていた部屋番号の階までエレベーターで向かう。
その後、部案内板を頼りに裁判が行われる部屋に向かう。扉には木の小さな窓がありそこから中の様子を見ることができる。
出入りは自由で、実際は裁判中に出入りしている人は多くいた。
裁判傍聴① 覚せい剤取締法違反
最初に傍聴した裁判は覚せい剤取締法違反の裁判で、傍聴席は関係者の人か何人かいる程度であった。
被告人は執行猶予期間中に2度目の覚せい剤使用・所持ということで刑務所入りは免れない状況であった。
傍聴席には被告人の奥さん、母親、仕事関係の方がいた。仕事関係の方は証言台で被告人はとても真面目で助けたいと話しており、奥さんは子供のためにも何とか助けたいと話していた。
被告人も常に俯いてじっとしていた。被告人はとても反省していると述べ、もう二度とやらないと誓っていた。
中学卒業から常習しており、やりたい気持ちが抑えられないと話していた。
検察側は懲役2年を求刑し、弁護士側は反省しているし子供のためにも刑を軽くして欲しいと述べ、次回判決することになり閉幕した。
覚せい剤の怖さ
印象的だったのは、被告人自身本当にどうしたら覚せい剤を辞められるか苦しそうだったことである。
本人は覚せい剤は悪いことだし、バレたら捕まることも十分理解しているが、どうしてもふと手を出してしまうと話していた。
これは覚せい剤に強力な依存性と中毒性があることを物語っており、1度手を出したら本当に大変なことになるのだと本件を通して改めて感じた。
裁判傍聴② 窃盗罪
2件目に傍聴したのは窃盗罪の裁判で、傍聴席に3人おり、内1人は被告人の父親であった。
被告人は転売目的で薬局の商品数個を盗んだ容疑で、以前にも窃盗をして罰金刑となっていた。
また被告人は中国人で通訳を通して裁判が行われた。被告人は常に俯いており、かなり覇気がない様子だった。
被告人の父親は息子に代わって被害店舗に謝りに行き許してほしいと言っていたそうだが、肝心の息子が謝りに来ず被害側は許していないようだった。
被告人は罪状を認めており、これからは心を入れ替えて頑張ると話していた。
本裁判ではその場で判決が出た。検察側は二度目の犯行であり、計画的で悪質とのことで懲役1年を求刑。弁護士側は反省しているし寛大な判決を求めていた。
裁判長が少しの時間を経て懲役1年、執行猶予3年の判決を出した。被告人は終始俯いていた。
貧困について考える
被告人は工場で働いており、月に10万程度の収入しか得られず、転売で不足するお金を稼いでいた。
窃盗は当然悪いことであり許されないことであるが、このまま経済格差が進み、貧困層が増加した時にこのような犯罪はますます増えていくのではないかと危惧する。
普段なかなか感じることのできない貧困のリアルを知ることで、色々と考えさせられるきっかけになった。
まとめ
初めて裁判傍聴に緊張しっぱなしで2つの裁判だけであったが、裁判所を後にした後どっと疲れが出た。
普段関わることのない司法の裁きを目の当たりにし、自分の見えている世界の狭さを感じるとともに法治国家として司法が機能していることの大切さを思い知った。
また裁判では被告人やその関係者の言葉や問いかけから人間ドラマを垣間見ることができ、複雑な心境になった。
ちなみに一つ目の裁判で携帯電話を鳴らしてしまった人がおり、裁判長に強く注意されていたので、電源を切るのを忘れないでおこう。
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